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セブンヒッツ理論・スリーヒッツ理論とは。ザイオンス効果との関係性

セブンヒッツ理論・スリーヒッツ理論・ザイオンス効果は、人間の認知・行動プロセスをマーケティングに落とし込んだ理論です。
いずれもマーケティングに活用できる概念ですが、それぞれ別の理論として区別されます。
本記事では、セブンヒッツ理論・スリーヒッツ理論を中心に、各概念を整理して解説します。

セブンヒッツ理論・スリーヒッツ理論・ザイオンス効果の違い

それぞれの理論の違いを表にまとめました。
マーケティング業界ではセブンヒッツ理論やザイオン効果が有名ですが、各理論が提唱されたおよそ時系列順に掲載しています。

特徴ザイオンス効果スリーヒッツ理論セブンヒッツ理論
提唱分野心理学マーケティング理論マーケティング理論
理論の概要繰り返し接触することで好感度が高まる心理現象繰り返しの接触が消費者の記憶に残る高頻度の接触で信頼や親近感が形成される
接触回数の目安制限なし(多すぎると逆効果)3回7回
注意点回数が多すぎると「しつこい」と感じられるリスクがある短期間で集中して接触適切な間隔で接触を分散させる
心理プロセス感情的な好意形成(ポジティブな印象)認知→理解→行動認知 → 興味 → 比較 → 行動
効果の焦点好意や信頼感を高める認知・購買行動の促進(短期戦略)認知・購買行動の促進、ブランドロイヤルティ形成(長期戦略)
主な対象全般(ブランド認知・広告・人間関係)低価格商品(低関与商品)高額商品(高関与商品)

理論の背景は異なりますが、マーケティングや広告においてそれぞれ補完的に活用できます。
たとえば、
「ザイオンス効果で好感度を高めた後、スリーヒッツやセブンヒッツの接触回数で購買行動を促進する」
という戦略が考えられます。

続いて個別の理論について掘り下げて確認します。

ザイオンス効果とは

ザイオンス効果は、繰り返し接触することで、その対象に対する好感度が高まる心理現象を表しています。
内容やその品質ではなく、接触回数が単純に感情や好意形成に影響を与えるという点が特徴です。

マーケティング理論ではなく、心理現象・人間の感情の法則を扱う心理学用語という点が他と大きく異なります。
したがってザイオンス効果の影響は、マーケティングの話だけではなく、人間関係など日常生活に深く根付いています。

ザイオンス効果については、下記の記事で詳しく解説しています。

ザイオンス効果(単純接触効果)とWEBマーケティングでの活用法

スリーヒッツ理論(スリーヒットセオリー)とは

消費者が広告に接触する回数が3回に達すると、その広告のメッセージが認知され行動に繋がるとする考え方です。
最初のメッセージは記憶に残らずスルーされることが多く、繰り返し接触することで信頼感や認知度が向上し、購買意欲が高まるとされています。

スリーヒッツ理論の主な内容は次のとおりです。

1回目の接触: 「これは何だろう?(What is it?)」
初めて広告を見る段階でユーザーはメッセージを認識するが、内容の理解や行動には結びつかない

2回目の接触: 「何について語っているのだろう?(What of it?)」
メッセージの内容を理解し始め、少し興味を持つ段階。この時点ではまだ行動には移らない

3回目の接触: 「これは自分に関係がある(That’s for me!)」
広告メッセージが記憶に定着し、消費者が行動に移るきっかけになる

4回目以降の接触は3回目の反応が繰り返されるのみで、反応は向上されない。
つまり3回の接触が最適(費用対効果最大)だと定義されています。

ザイオンス効果と同年代に提唱されたと言われていますが、その後に登場するセブンヒッツ理論やメディアミックス理論など、近年のマーケティング論のベースになっています。

セブンヒッツ理論とは

セブンヒッツ理論は、消費者が1つのメッセージに7回接触すると記憶に残り、行動(購買や問い合わせなど)に繋がりやすくなるという理論です。

ザイオンス効果とスリーヒッツ理論を発展させた、比較的近年のマーケティング理論です。
ブランドマーケティングや、複雑な意思決定を伴う高額商品などのマーケティングに適用されることが多いです。

セブンヒッツ理論の背景

人が新しい情報を記憶するには一定の反復が必要ですが、短期間に情報のインプットが繰り返されることで、その情報が「重要」と認識され、記憶や意思決定に影響を与えることが分かっています。

セブンヒッツ理論はこの記憶形成のプロセスをマーケティングに応用し、商品・サービスの認知・獲得につながる効率的な接触方法を説いています。

広告効果に関する研究では、接触回数が3回を超えると効果が顕著になり、7回前後で最大化されることが示されています。

接触回数と好意形成のイメージ図

セブンヒッツ理論を活用したマーケティングプロセス

セブンヒッツ理論はよく、AIDA(アイダ)やAIDMA(アイドマ)などの購買行動モデル※ とともに扱われます。

※購買行動モデル:消費者が購買に至るまでのフローをモデル化した概念

■購買行動モデルの例
AIDA:Attention(注意)→Interest(興味)→Desire(欲求)→Action(行動)
AIDMA:Attention(注意)→Interest(興味)→Desire(欲求)→Memory(記憶)→Action(行動)

■購買行動モデルに沿ったマーケティング戦略の例
・露出を増やしてターゲットの注意を喚起
・さらに露出を増やして接触を重ね、認知を獲得
・メディアミックスで接触を重ね、興味関心を醸成
・様々なコンテンツで接触を重ね、欲求を喚起
・7回の接触で行動を斡旋(あっせん)

購買行動モデル各フロー(タッチポイント)での7回接触を目安に、最適なコミュニケーション手法を組み合わせることで、商品・サービス認知から顧客獲得をめざすことができます。

今でもよく利用されるセブンヒッツ理論ですが、当社では情報過多の時代背景を考慮して、7~10回の接触を目標とすることが多いです。

まとめ

ザイオンス効果は心理学的な普遍的現象であり、「接触回数」と「好意」の関係に焦点を当てています。
一方、スリーヒッツ理論やセブンヒッツ理論はマーケティング理論であり、特定の回数の接触を行動変化に結びつけるための「具体的な目安」を提供しています。

とくに認知を目的とするマーケティングでは、これらの知識を取り入れることでより具体的な目標・方法を設計しやすくなります。

当社では、認知獲得をはじめとしたマーケティング手法の選定、目標設計について幅広いご提案が可能です。

・認知広告の目標の立て方が分からない、目標を立てていない
・認知広告に必要な広告費の目安が分からない
・認知広告の効果検証に課題がある

このようなお悩みをお持ちの企業様はぜひお気軽にご相談ください。