Column & Manual

コラム・マニュアル

SCROLL

広告予算・マーケティング予算の決め方 7選

広告・マーケティング費用は必要以上に大きすぎると財務リスクが、少なすぎると機会損失のリスクがあります。
したがって、同じ会社・同じサービスでも実績や事業フェーズに合わせて随時見直し・修正することが望ましいです。

本記事では広告予算の決め方として7つの方法をご紹介しています。
自社にとって最適な予算設計方法のヒントが見つかれば幸いです。

広告予算を決める際の目標設定

広告予算を決める上では、マーケティングの目的・目標を明確にすることが重要です。
たとえば
「新規顧客をたくさん集める(数)」
「問い合わせの効率を上げる(質)」
では目的が変わるため、目標の置き方も変わってくるでしょう。

会社の状況(財務、営業体制、事業フェーズ、商品力など)を踏まえ、目的をできるだけ具体的な目標に落とし込むことで、施策の優先度や予算設定方法の選択肢が狭まります。

代表的な広告予算の設定方法

主な広告予算の決め方として4つの方法があります。
タスク法・売上高比率法・競争者対抗法・予算据え置き法を順にみていきます。

タスク法(目標基準法)

マーケティングの成果目標(目標基準)から逆算して費用を算出する方法です。

売上・利益・コンバージョン数・クリック数など、現状から+αで伸ばしたい目標数値を立て、目標達成にかかる費用を計算します。

利益率や成約率、問い合わせ率、ホームページのアクセス状況などのデータが揃っていれば目標を具体的に計算できますので、もっとも合理的な予算設計手法と言えます。

売上高比率法

実績売上高の○%を広告費とする方法です。

前期実績から今期の広告費を決める方法が主ですが、新規ビジネスでは目標売上高から必要な広告費を算出することも可能です。

パーセンテージは業種や利益率によりますが、立ち上げ期は売上の20~30%、安定期は売上の5~10%とすることが多いようです。
同じ考え方で「利益比率法」とすることで、目標に対してより厳しく・財務的により健全な予算設計も可能です。

かんたんに予算を求められることが特徴ですが、売上高(利益)の余裕の範囲内とすることから、財務的に無理のない予算組みが可能になります。
しかし売上が発生するまでのスパンが長かったり、売上と広告成果を関連付けしづらいビジネスでは採用が難しいです。

競争者対抗法

競合企業の広告費をベンチマークし、競合企業と並ぶ、もしくは打ち勝つ広告費を設定する方法です。

主力商品・サービスなどで市場のパイを勝ち取りたい時に利用されます。
競合とのプロモーション戦略やブランド力・体力差などを考慮して、特定の商品・商圏など分野を絞って対抗することが重要です。

競合企業の広告費は情報開示がされていない限り把握しづらいことが問題ですが、WEBマーケティングにおいては概算で他社広告費を計るツールも存在します。(精度はそこまで高くありません)

予算据え置き法

プロモーション実績に寄らず、前記の予算をそのまま据え置く方法です。

広報や認知・ブランディング広告など売上と直接関連付けしづらいマーケティング活動や、非注力だが一定数の投資は残しておきたい事業などに向いています。

「望ましくない方法」として紹介されることが多いようですが、当社では正式な予算設計方法の1つだと考えています。
しかし予算据え置きの理由が不明確な場合は、改めて目的・目標を見直しても良いでしょう。

主にWEBマーケティングで用いられる予算設定方法

WEBマーケティングは広告成果を数値で把握しやすいという特徴があります。
そのため、試算や実績数値から現実的な予算を組み立てることができます。
WEBマーケティングでよく用いられる3つの予算設定方法を順にご説明します。

ターゲット上限予算法(シミュレーション法)

WEBマーケティングにおいて、
ビジネスのターゲットユーザーすべてを広告対象とした場合の上限広告費を広告予算とする方法です。

「すべてのWEBユーザーをターゲットとした場合いくらまで広告費を使えるか」と言い換えることもできます。

WEBマーケティングでは
・キーワード検索数
・オーディエンスの興味関心
・人口統計
などのデータから、全ターゲットユーザーへプロモーションを行う際の広告費上限が概算で算定できます。
ターゲットユーザーのボリュームとWEB指標のシミュレーションを行い「ターゲット上限予算」を算出します。

実運用では、タスク法売上高比率法などと組み合わせて検討し、予算を最終決定することが多いです。

ROAS法

広告経由の売上が明確なビジネスではROAS法が利用できます。
ROASはReturn On Advertising Spendの略語で、広告の費用対効果(投資対効果)を意味します。
ROAS法は広告の費用対効果で広告予算を決定する方法です。

ROASは「広告経由の売上高÷広告費×100(%)」で計算できます。
結果が100%の場合は「広告経由の売上高=広告費」となり、利益が0ということになります。(その他の費用を考慮しない場合)

売上高比率法に近しい考え方ですが、オンラインショップのWEBマーケティングでよく用いられる方法です。
目標ROASは利益率や購入頻度によりますが、300~1,000%と設定されることが多いようです。

ROAS法では広告予算よりもROASの達成率に重きを置きます。
予算を明確に決めない場合もあり、例えば下記のような設定方法があります。
・予算上限なし「実績がROAS 1,000%を超えていれば、予算上限なし」
・予算上限あり「ROAS 300%以上目標、上限予算100万円/月」

LTV法

LTVはLife Time Valueの略語で、顧客生涯価値(1人の顧客が一生涯でもたらしてくれる利益の総和)を意味します。
LTV法はタスク法の1種で、獲得目標をLTV(顧客生涯価値)から算出するものです。

LTVは下記の式で求めることができます。

LTV(円) = 購買単価(or 利益)× 購入頻度(年間)× 継続期間(年)

広告予算 = LTVを基にした目標獲得単価 × 目標獲得数

LTVは1顧客の生涯(最大)価値ですので、LTVを下回る範囲で目標獲得単価を設定します。
「購買単価」を「顧客単価」、「購入頻度」を「利用頻度」とすることで通販ビジネス以外にも利用できます。
サブスクリプションモデルや定期通販など、顧客との接点が継続的に発生するビジネスで新規顧客を獲得するときの指標に適しています。

まとめ

広告予算・マーケティング予算の決め方をご説明しました。
実運用では、目標の達成状況や外部情勢(社会・季節など)、内部情勢(人員・在庫など)に合わせた柔軟な予算調整ができることが望ましいです。

代理店(マーケティング代行会社)と一緒に取り組む場合は、基本的に代理店がヒアリングを基に最適な予算を算出してくれますので、目的・目標をしっかり詰めておけば大丈夫です。
予算額に正解というものはありませんので、常に経過・結果を検証しながら適宜見直しされることをお勧めします。